重星・連星Post to TwitterFacebook Share

と連

夏の天の川の中に大きく羽を広げた形をしたはくちょう座があります。そのくちばしにあたる部分にある2等が、アルビレオです。肉眼では1つのにしか見えませんが、望遠鏡で覗いてみると実は接近した2つのからなることがよくわかります。このように互いの距離が近くに見えるを重(二重)と呼びます。美しい色の対比から、宮沢賢治がトパーズとサファイヤにたとえたアルビレオは、夜空に数ある重の中でももっとも有名な重の1つです。ほかにも、かつて兵士の視力検査に使われたとされるおおぐま座のミザールとアルコルや、太陽からもっとも近い恒系のケンタウルス座αも有名な重です。

の中でも、実際に近い距離にあって重力的な影響を及ぼしあい、互いに公転しあっているようなものを連と呼んで、たまたま同じ方向に見えるために重として観察される場合と区別しています。アルビレオも、重力的な影響を及ぼして束縛しあっている連であることが知られています。連系を構成するは2つだけとは限らず、3つ以上のからなる連系も多く知られており、ミザールとアルコルは4重もしくは5重連ケンタウルス座αは3重連です。銀河系にあるの半数程度はこのような連系だと考えられています。

アルビレオ (c) 国立天文台
アルビレオ (c) 国立天文台

多様な連の世界

は、望遠鏡による観測によって分離できる実視連と、分離はできなくともスペクトルの特徴が周期的に変化することで2以上からなることがわかる分光連に分類されます。連の中には、互いのが接触するくらい近くを回っているようなもの(近接連)があることも知られています。そのような特殊な状況にある連系では、片方ののガスが一方のの表面に降り積もるという現象が起きています。このような近接連は、降り積もって高温になったガスが吹き飛ばされる新爆発などの特殊な天体現象を引き起こす舞台となっているのです。

近接連星の想像図 (c) NASA/CXC/M.Weiss
近接連星の想像図 (c) NASA/CXC/M.Weiss