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銀河の誕生

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宇宙の始まりから宇宙の晴れ上がり

私たちの宇宙はビッグバンで生まれました。誕生直後の宇宙は約1,000億度もの超高温でしたが、膨張にともなって徐々に冷えていきました。誕生から約38万年が経つ頃、約3,000度にまで冷えた宇宙では、電子が陽子に捕らえられ、水素やヘリウムといった物質が作られます。それまで電子に散乱されていた光は、この時から直進できるようになりました。これは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれ、この時の光は「宇宙背景放射」として現在観測されています。その観測結果から、宇宙の晴れ上がりの時の物質の分布は、ほとんど一様だったことが分かっています。

重力不安定

宇宙では、重力が多くの現象を決定する力となっています。宇宙の晴れ上がりのときに誕生した水素やヘリウムは、重力によって引き合い、互いに集まっていきます。このとき、元々物質の密度が高いところでは、周りより重力が強いため、周りから原子を集めてさらに密度が高くなります。逆に密度が低いところは、さらに密度が低くなります。このように、重力によって密度のコントラストがより強くなっていくことを「重力不安定」と呼びます。

銀河誕生の陰の立役者ダークマター

銀河を構成する恒星は、水素原子などのバリオン(普通の物質)から作られます。しかし、宇宙の晴れ上がりの時にはバリオンの密度にはコントラストがほとんどなく、重力不安定で恒星を作るのにじゅうぶんな量の物質を集めるには、非常に長い時間がかかります。これでは、銀河団のような巨大な構造を宇宙の誕生から現在までの時間で作ることができないことが計算で分かっています。この問題を解決するために現在考えられているのが、光とは相互作用しないために見えないダークマター(暗黒物質)です。私たちの宇宙には、このダークマターが、水素原子など私たちのよく知る物質の約5倍もあるらしいのです。ダークマターを見ることはできませんが、物質に重力を及ぼします。光とは相互作用しないため、ダークマターは宇宙の晴れ上がりより前から重力不安定で集まることができます。こうしてできたダークマターの塊の強い重力に引かれて、ようやく物質が集まることができます。

宇宙暗黒時代の終焉から銀河の誕生へ

ダークマターの塊の中に集まった物質から宇宙で最初の恒星が誕生するのは、宇宙誕生から数億年が経った頃と考えられています。宇宙の晴れ上がり以降、最初の恒星が生まれる以前の宇宙は、光る天体がまったくなかったため、「宇宙の暗黒時代」と呼ばれています。最初の恒星の誕生は、宇宙の暗黒時代に終わりを告げる「宇宙の夜明け」といえる出来事でした。
銀河は恒星の集団でできていますが、残念ながら、この最初の恒星がどうやってできたのか、また銀河ができるまでの道のりは、まだ解明されていません。しかし、誕生から約8億年が経過した頃の宇宙には、すでに銀河と呼べる天体が存在していることが、すばる望遠鏡などによって明らかにされています。

約120億光年彼方の宇宙において、ダークマターの塊の中で育まれる銀河の想像図。青色の部分がダークマターで、密度が高い所ほど青白く着色しています。(c)石川直美、武田隆顕(国立天文台)
約120億光年彼方の宇宙において、ダークマターの塊の中で育まれる銀河の想像図。青色の部分がダークマターで、密度が高い所ほど青白く着色しています。(c)石川直美、武田隆顕(国立天文台)