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月の誕生

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月の特異性

月は地球のただ1つの衛星ですが、他の惑星の衛星に比べるとかなり変わっています。惑星である地球との質量比が大きいのです。月の質量は地球の約100分の1ですが、これほど惑星の質量に対して大きな質量をもつ衛星は他にはありません。唯一の例外は、準惑星である冥王星とその衛星カロンですが、これはどちらかといえば、二重天体に近いと考えられています。なぜ、地球のような小さな惑星が、月という大きな衛星をもつことができたのかは、大きな謎なのです。

さまざまな説が考えられてきた月の起源

月がどのようにして誕生したのかについては、様々な説が唱えられてきました。大きく分けると次の4つにまとめられます。

1. 兄弟説:
原始惑星系円盤中で、塵(ちり)が集まって地球とともに月がつくられたという説。
2. 親子説:
地球の誕生直後、地球の自転は現在よりも高速だったので、遠心力によって原始地球の一部がちぎれて月がつくられたという説。
3. 他人説:
地球の近くを通過した小天体が、地球の重力によって捕らえられて月となったという説。
4. 巨大衝突(ジャイアント・インパクト)説:
原始地球に小天体が衝突し、地球や小天体の破片が集まって月がつくられたという説。

このうち、現在では4の巨大衝突説が有力視されています。

ジャイアント・インパクト

巨大衝突(ジャイアント・インパクト)説は、誕生して間もない原始地球火星サイズの小天体が衝突し、そのときに破壊された小天体の残骸と、衝突によってえぐりとられた地球の表層物質が再度集まって固まり、月がつくられたというものです。このことは、現在の月の特徴を比較的うまく説明することができます。月には、その化学組成が地球のマントル部分と似ている、平均密度が地球に比べ低い、などの特徴がありますが、前述した「兄弟説」「親子説」「他人説」ではこれらを矛盾なく説明することができません。そこで登場したのがジャイアント・インパクト説です。ジャイアント・インパクト説ではこれらの特徴の多くを説明することができ、月がどのように誕生したのかを説明するものとしては、最も有力だと考えられています。最近ではコンピューターの発達により、このようなモデルをシミュレーションで再現することができるようになり、実際に月のような衛星が作られることや、地球の自転軸の傾きなどを説明できるようになってきています。最新のシミュレーション結果によると、衝突が起こってから月ができあがるまでにかかる時間は1ヵ月足らずではないかともいわれています。

ジャイアント・インパクトの想像図。 (c) NASA
ジャイアント・インパクトの想像図。 (c) NASA

月周回衛星「かぐや

これまで見てきたように、月は地球から最も近い天体でありながら、起源や内部構造などに関して分からない謎が多く残されています。アメリカのアポロ計画、ロシアのルナ計画など、これまでにさまざまな月探査が行われてきましたが、日本も1990年に工学実験衛星「ひてん」を打ち上げ、「ひてん」から月周回孫衛星「はごろも」を分離させました。さらに2007年9月には月周回衛星「かぐや」を打ち上げて、本格的な月の研究に取り組み始めました。「かぐや」は月のまわりを周回しながら15種類の装置を使って月を探査し、月表面の元素組成、鉱物組成、地形、表面付近の地下構造、磁気異常、重力場の観測を全域にわたって行っています。これらの観測によって、総合的に月の起源・進化の解明に迫ります。これまでに、表と裏で重力場に違いがあることや地下構造に層状構造があること、月の裏側の一部では従来考えられていたよりも最近までマグマ活動があったことなどがわかってきています。