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銀河系の中心

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私たちの銀河系の中心は、太陽系から見ると天の川が最も厚く濃く見えるいて座の方向にあります。その距離は太陽系から約2万8,000光年と推定されています。可視光では星間物質による吸収の影響でこの距離まで見通すことができませんが、電波や赤外線、X線などの観測により、その素性が明らかにされつつあります。

銀河系の中心には星間物質が集中していて、ディスクバルジでは見られないような特異な現象が数多く観測されます。最も代表的なものが、銀河系の中心にある「いて座A」と呼ばれる電波で非常に明るい天体です。いて座Aを詳しく観測すると、いて座Aイーストと名付けられた超新星残骸と、いて座Aウエストと名付けられた3本の腕を持つ渦巻き状の構造に分けられます。いて座Aウエストの「腕」の交点付近には、電波でひときわ明るい点状の天体があり、いて座A*(スター)と名付けられています。そしてその周辺に見つかった恒星の運動などから、この天体は太陽の数百万倍もの質量を持つ巨大なブラックホールであることが明らかになったのです。

ブラックホール以外にも、中心付近には銀河系の中でここでしか見られない天体が多く見つかります。例えば、いて座Aの東側には、電波で明るく見える銀河面に垂直な細長い弧状の天体「電波アーク」があります。電波の性質を調べることで、そこには強力な磁場が存在することが分かっていますが、その起源となる天体は見つからず、正体は発見から20年以上経った現在も謎に包まれたままです。

また、現在銀河系の中心核は他の銀河に比べて暗いことが知られています。しかし多くの超新星残骸があり、さらには比較的最近起こった超新星爆発を起源とするような現象も電波で多く観測されています。X線天文衛星「すざく」などによる観測では、近くの分子雲にいったん反射することで直接届くよりも遅れて地球に届くX線の強度が、現在の強度から予測されるより強いことが分かり、数百年前の中心核は今よりも明るかったと指摘されています。このような観測結果から、私たちの銀河系の中心では、近い過去に活発な星形成が起こり今よりも明るく輝いていた時期があったのだろうと考えられています。

南半球から見た、銀河系の中心方向。(c)国立天文台
南半球から見た、銀河系の中心方向。(c)国立天文台
電波で観測した銀河系中心部。Sgr Aが「いて座A」、Arcが「電波アーク」です。(c)Image courtesy of NRAO/AUI and N.E. Kassim, Naval Research Laboratory
電波で観測した銀河系中心部。Sgr Aが「いて座A」、Arcが「電波アーク」です。(c)Image courtesy of NRAO/AUI and N.E. Kassim, Naval Research Laboratory