JAXA | 宇宙情報センター SPACE INFORMATION CENTER

メニュー

メニュー

こども宇宙ニュース (2008-01-22) 「ひので」発見で太陽の教科書が変わる?!

シェア

関連情報

地球の生き物たちの命の源、太陽。しかし太陽にはまだわからないことがたくさんあります。近くにあるために、望遠鏡で光を集めると望遠鏡を溶かすほどの熱が集まってしまい、観測をすることが非常に難しかったためです。しかし、日本は技術的な難しさを克服して太陽観測衛星「ひので」を完成、2006年9月に打ち上げ後から大発見を続けています。太陽物理学の教科書が書き換わるほどのテーマが目白押しだという、『ひので』の観測から、2つの発見を紹介しましょう。

太陽観測衛星「ひので」は2006年9月23日に打ち上げられ、エックス線望遠鏡、紫外線望遠鏡、可視光・磁場望遠鏡の3台の望遠鏡で太陽の異なる姿を詳しくとらえます。
太陽観測衛星「ひので」は2006年9月23日に打ち上げられ、エックス線望遠鏡、紫外線望遠鏡、可視光・磁場望遠鏡の3台の望遠鏡で太陽の異なる姿を詳しくとらえます。

まず一つ目は、「太陽風」です。宇宙は真空で音もなく一見静寂の世界ですが、太陽からは超高速の粒子の流れ、「太陽風」が吹いています。その速度は地球周辺で秒速300~800kmにもなるほどです。もちろん宇宙は真空であり、太陽風地球上で私たちが肌で感じるような風ではありませんが、この太陽風地球木星上空でオーロラを光らせたり、人工衛星の機器にダメージを与えたりして、私たちの日常生活にも影響を与えています。ところが太陽風太陽のどこから出て、どうやって超高速になるのかなどナゾがたくさんあります。今回、「ひので」はその太陽風が吹き出す現場をとらえることに、世界で初めて成功しました。

「ひので」がエックス線望遠鏡で2007年2月に観測した太陽コロナ(太陽の大気)の写真。白丸で囲まれたところから太陽風が白い矢印に沿うように上空に吹き出しています。温度は約100万度、秒速140km前後。太陽風が宇宙空間に放出する質量の四分の一の量がここから出ている、つまり太陽風の「源」なのです。
「ひので」がエックス線望遠鏡で2007年2月に観測した太陽コロナ(太陽の大気)の写真。白丸で囲まれたところから太陽風が白い矢印に沿うように上空に吹き出しています。温度は約100万度、秒速140km前後。太陽風が宇宙空間に放出する質量の四分の一の量がここから出ている、つまり太陽風の「源」なのです。

今回、太陽風の源が初めてとらえられたことで太陽風の理解が進むとともに、地球周辺に影響を与える太陽活動を予報する「宇宙天気予報」に役立つことが期待されています。
そしてもう一つの発見は、「太陽最大のナゾ」にせまるものです。そのナゾとは「コロナ加熱問題」です。太陽表面の温度は6,000度ですが、上空のコロナの温度は100万度以上あります。通常ならコロナも6,000度を超えることはあり得ないのに、何がコロナを温めているのでしょうか。まるで「火のついていないガスコンロの上でやかんが沸騰している」ような状態です。しかもこれは太陽だけでなく他の天体にも共通しており、「ひので」が挑む最大のテーマです。コロナ加熱問題には2つの仮説が立てられていますが、今回、その仮説の一つの証拠である「波」が観測されたのです。

「ひので」の可視光望遠鏡が2006年11月に観測した、黒点上空のコロナ。画像の上部に筋上に見えているプロミネンス(太陽表面から吹き出す巨大なガス)が、動画で見ると上下方向に振動しています。その動きを詳しく調べると、アルベン波と呼ばれる波によるものと結論づけられました。このアルベン波は、コロナ中の磁力線に沿って伝わる波と考えられていて、コロナ加熱の鍵を握っているという説(波動加熱説)があるのです。
「ひので」の可視光望遠鏡が2006年11月に観測した、黒点上空のコロナ。画像の上部に筋上に見えているプロミネンス(太陽表面から吹き出す巨大なガス)が、動画で見ると上下方向に振動しています。その動きを詳しく調べると、アルベン波と呼ばれる波によるものと結論づけられました。このアルベン波は、コロナ中の磁力線に沿って伝わる波と考えられていて、コロナ加熱の鍵を握っているという説(波動加熱説)があるのです。

「コロナ加熱問題」には、今回発見された「波」説のほかにも、小さな爆発(フレア)をたくさん起こしてコロナを加熱するという説(ナノフレア説)もあり、「ひので」はその直接観測も目ざしています。

世界の科学者達が「ひので」の観測に注目しています。今後も、数々の重要な発見で、身近な太陽の意外な姿を明らかにしてくれるでしょう。