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こども宇宙ニュース(2015-02-18) 「はやぶさ2」と個性豊かな3つの小型副ペイロード、宇宙へ

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2014年12月3日、小惑星探査機「はやぶさ2」は、種子島宇宙センターから打ち上げられました。「はやぶさ2」は、2010年に小惑星イトカワ」からサンプルを持ち帰った「はやぶさ」の後継機。「イトカワ」は岩石質のS型小惑星でしたが、「はやぶさ2」は同じ岩石でも有機物や水をより多く含むC型の小惑星1999JU3を目指します。

今回の打ち上げには、「はやぶさ2」だけでなく、3基の小型副ペイロードも搭載されていました。ロケット人工衛星や探査機を打ち上げる時、重量に余裕があるときに、「相乗り」させるのです。どんな小型副ペイロードが相乗りしていたのでしょうか?

小惑星探査機「はやぶさ2」(中央)と、相乗りして打ち上げられる小型副ペイロード(左)が「デスパッチ」、(右)が「プロキオン」。
小惑星探査機「はやぶさ2」(中央)と、相乗りして打ち上げられる小型副ペイロード(左)が「デスパッチ」、(右)が「プロキオン」。

一つ目は東京大学がJAXAと開発した「プロキオン」。重さ約65kgで「はやぶさ2」(約600kg)の約9分の1と小型ながら、イオンエンジンを搭載し、「はやぶさ2」と別の小惑星を目指します。口径5cmの小型望遠鏡を積んでいて、小惑星に数十kmまで接近して小惑星の写真を撮影する予定です。地球の重力が及ぶ範囲(重力圏)を脱出して深宇宙に向かい、小型探査機が探査するのは世界初。ちなみに「プロキオン」という名前はこいぬ座の一等星プロキオンから名付けたそうです。プロキオンはおおいぬ座のシリウスに先駆けて夜空に上ってきます。「小型衛星が大きな探査機の前に宇宙を飛んで調査をする」という目的にぴったりです。

東京大学がJAXAと共同開発した「プロキオン」。外計寸法が630×550×550mmという小型の 探査機が小惑星をどのように探査するか、楽しみです。
東京大学がJAXAと共同開発した「プロキオン」。外計寸法が630×550×550mmという小型の 探査機が小惑星をどのように探査するか、楽しみです。

二つ目は多摩美術大学などが開発した芸術衛星「デスパッチ」。重さは32kg。まるで巻き貝のような形は「らせん」をイメージして作られた、宇宙彫刻。3Dプリンターで作ったそうです。世界でもっとも遠くを飛ぶ芸術作品になるとともに、「デスパッチ」は宇宙で芸術活動も行います。小型副ペイロードが搭載しているセンサーの数値情報を単語に変換して、詩を自動的に作ります。どんな詩ができたのか、気になりますね。

多摩美術大学の「デスパッチ」は巻き貝のような形が特徴。小型副ペイロード自体が「芸術作品」なのです。(C)ARTSAT
多摩美術大学の「デスパッチ」は巻き貝のような形が特徴。小型副ペイロード自体が「芸術作品」なのです。(C)ARTSAT

そして三つ目は九州工業大学と鹿児島大学が開発した「しんえん2」。3つの小型副ペイロードの中でもっとも軽い約17.9kgの衛星です。月を周る軌道や、さらに遠くの宇宙と地球の間で、アマチュア無線の周波数を使って通信を行います。また「しんえん2」が飛行する周辺の宇宙放射線を測定することも目的です。

九州工業大学と鹿児島大学が開発した「しんえん2」。炭素繊維強化熱可塑(かそ)樹脂(CFRTP)という材料 を世界で初めて宇宙で利用することで、 ボルトなどを減らし軽くすることができました。
九州工業大学と鹿児島大学が開発した「しんえん2」。炭素繊維強化熱可塑(かそ)樹脂(CFRTP)という材料 を世界で初めて宇宙で利用することで、 ボルトなどを減らし軽くすることができました。

3基の小型副ペイロードとも、大学が中心となり開発しているのが特徴です。2003年に東京大学の学生が世界で初めて大きさ10cm立方、重さ1kgの手のひらに乗る人工衛星を打ち上げてから10年以上。今や、地球の重力圏を飛び出し、芸術や通信、小惑星探査に挑戦する時代になったのです。