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佐藤文隆

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アインシュタインの重力方程式の新しい解を発見

佐藤文隆(1938〜)は、日本を代表する一般相対性理論の研究者です。山形県に生まれ、湯川秀樹にひかれて京都大学で物理学を学んだあと、1972〜73年にかけて物理学者の冨松彰とともにアインシュタインの重力方程式の新しい解を発見して、世界の注目をあびました。これはブラックホールについての構造を解明する計算式で「冨松・佐藤解」とよばれています。世界の研究者のあいだでは、きわめてユニークな発見として大きな影響をあたえました。

ブラックホールははたして暗黒の世界なのか「冨松・佐藤解」が示した「裸の特異点」

アインシュタインの一般相対性理論は、強力な質量の星があると、その周囲の時空はゆがみ、そのゆがみが重力となることを説いています。このゆがみがきわめて大きい天体がブラックホールですが、その存在は予測されても実体が解明されたわけではありません。そこで物理学者は、さまざまな計算をこころみて構造をさぐるのですが、アインシュタインの重力方程式は幾何学を利用したきわめて難解な数式のため、研究者といえども容易に答えがみつかりません。
「冨松・佐藤解」は、この難問に対する新しい発見で、しかも厳密解といわれ大きな注目を集めました。一般にブラックホールは、すべてのものをのみつくし、物理学の法則が通用しない特異点としてあつかわれ、そこでは何の情報も得られない暗黒の世界とされています。しかし「冨松・佐藤解」が描いたのは、この特異点は「裸の特異点」であり、何もかも見える領域で、しかもそこでは未来が過去であり、過去が未来である時空をもつ世界でした。
それまで考えられてきたブラックホールとは、ずいぶん様相の異なる新しい世界で、因果律に反するきわめてユニークな性質をもった姿といえます。賛否両論もあるところですが、この解の検証は将来にゆだねられています。