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多波長天文学

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波長を変えると違う宇宙が見えてくる

人間の目には見えない電磁波を観測できるようになってから、天文学は大いに発展しました。それは、波長の異なる電磁波によって、可視光線だけでは観測できないさまざまな天体を観測できるようになったためです。例えば、ガスや塵(ちり)が集まった暗黒星雲という天体がありますが、可視光線は暗黒星雲の塵に吸収されてしまうので、その中を見ることができません。しかし、波長の長い赤外線や電波は塵に吸収されにくいので、暗黒星雲の中まで見通すことができるのです。これにより、暗黒星雲の中で進む星の誕生の様子を赤外線や電波で詳しく観測できます。また、非常に遠くの銀河は私たちから遠ざかっているので、それらの銀河が出す光は波長が赤方偏移して赤外線として観測されます。このため、非常に遠くの銀河を観測するには、赤外線が適しているのです。また、ブラックホール超新星など非常に活発に活動する天体からは強いX線や電波が出ていることが多く、これを観測することで可視光線では分からない天体の素顔を詳しく観測することができるのです。いまではX線よりエネルギーの高いガンマ線でも精力的に観測が始まっています。

波長の違いに応じた様々な望遠鏡

観測する電磁波の波長が違っても、できるだけ大きな鏡やレンズでたくさんの電磁波を集めるという基本的な望遠鏡の役割は変わりません。しかし、望遠鏡は観測する波長によって少しずつ形が違います。一般的に電磁波をきちんと集めるためには、鏡の表面は観測する電磁波の波長の10分の1から20分の1のなめらかさがなくてはいけません。波長0.5μmの可視光線の場合に必要ななめらかさは0.05μmほどですが、波長3mm(3,000μm)の電波を観測する場合には、必要ななめらかさは0.3mm(300μm)ということになります。つまり、波長が短い電磁波を観測する望遠鏡の方が、鏡の表面がなめらかでなければいけないということです。電波望遠鏡は大きいものでは40mから100mの大きさがありますが、鏡の表面がさほどなめらかでなくてもよいため、このように大きな望遠鏡が作れるのです。可視光線を観測する場合はたいへんなめらかな鏡が必要になるので、大きくするとゆがんでしまう巨大な鏡を作ることは難しいのです。一方、電磁波の中でも最も波長が短いX線を観測する場合は、ふつうの鏡ではX線が通り抜けてしまって望遠鏡としての役割を果たすことができません。人工衛星に搭載されるX線望遠鏡の場合は、X線が来る方向とほとんど平行に金属の板を置き、X線が通り抜けずに非常に浅い角度で反射する性質を活かした独特の形をしています。

X線望遠鏡のしくみ (c)JAXA
X線望遠鏡のしくみ (c)JAXA