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ニュートリノ

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物質をほとんど素通りする粒子ニュートリノ

ニュートリノとは、1930年にオーストリアの物理学者ヴォルフガング・パウリによって理論的に存在を予言され、26年後に実験で確認された、電気的に中性(電荷ゼロ)で、重さ(質量)がほとんどゼロの粒子のことです。現在では電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類のニュートリノが観測されています。物質をほとんど素通りするため、宇宙のはるか彼方や太陽の中心部で発生したニュートリノが、ほとんどそのまま地球にやってきます。太陽からもニュートリノが出ていますが、ニュートリノの数はたいへん多く、1cm2あたり毎秒660億個というものすごい数のニュートリノがいつも私たちの体を通り抜けているのです。物質を素通りするということはニュートリノを観測しようとする装置すら素通りしてしまうということなので、ニュートリノの観測はたいへん困難です。大量の水を蓄えたタンクを用意し、ニュートリノが水分子とごくまれに衝突する時に発せられる光を検出することによってニュートリノが飛んできていることを確認するという方法があります。

ニュートリノ天文学の幕開けとなったカミオカンデの成果

1987年、大マゼラン雲で発生した超新星「1987A」爆発の際に放出されたニュートリノが岐阜県神岡鉱山にある東京大学宇宙線研究所・神岡宇宙素粒子研究施設のカミオカンデ(水3,000tを蓄えた巨大タンクを検出器とする素粒子観測装置)で検出されました。太陽以外の天体からのニュートリノが検出されたのはこれが初めてで、ニュートリノ天文学の幕開けとなりました。カミオカンデの観測チームを率いた東京大学の小柴昌俊名誉教授はその功績が認められ、2002年にノーベル物理学賞を受賞しました。

本格的なニュートリノ天文学のスタートに向けて

太陽や星の中心では核反応にともなってニュートリノが発生しています。ニュートリノ天文学は、これを観測して星などのメカニズムを探ろうという新しい分野の学問です。1996年4月からは、光の検出器の数をカミオカンデの70倍以上にしたスーパーカミオカンデが稼働を始めています。このスーパーカミオカンデは、直径39m、高さ41mの巨大な水槽(水5万tが入る)を、他の宇宙線の影響を避けるために地下1,000mに設置したもので、水槽の内部に光電子増倍管を11,200個並べ、ニュートリノが水分子に含まれる陽子や電子をはじき出したときに出るチェレンコフ光を検出するものです。1998年に、宇宙線が大気と衝突して発生する大気ニュートリノを観測して「ニュートリノ振動」とよばれる現象を確認し、ニュートリノに質量があることを実証しました。また、2001年には、太陽からやってくる電子ニュートリノが理論計算値よりも少ないという「太陽ニュートリノ問題」がニュートリノ振動によるものであることを明らかにしました。

現在、南極大陸の氷をそのまま水タンクの代わりに利用するアイスキューブという新しいニュートリノ観測装置も国際協力のもとで建設が進んでいます。これらの観測装置がもっと進化してニュートリノのすぐれた透過力を利用できるようになれば、星の内部などを見ることができるようになるでしょう。