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こども宇宙ニュース(2012-12-20) イプシロンロケットの開発

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ロケットは特別な乗り物であり、「打ち上げは大変なこと」だと思っていませんか?確かに現在、世界で打ち上げられるロケットは、安全にトラブルなく打ち上がるよう、多くの技術者が長い時間をかけて異常がないかを調べているため、手間や時間がかかります。

でも、いつまでも手間と時間をかけてロケットを打ち上げていては、宇宙は遠いままで、利用が広がっていきません。そこでロケットの打ち上げシステムを革新的に変えることで、打ち上げを「もっと簡単に、日常的な乗り物にしよう」と開発が進められているのが、イプシロンロケットです。2013年度夏頃の打ち上げを目指しています。

イプシロンロケット打ち上げのイメージ。
イプシロンロケット打ち上げのイメージ。

イプシロンロケットは全長24m、直径2.5mの3段式ロケットです。ロケットは燃料に液体燃料を使うか、固体燃料を使うかに大きくわけられますが、イプシロンは扱いの簡単な固体燃料を使い、地球の高度約400kmの低軌道に1.2トンの荷物を打ち上げます。

2012年12月、イプシロンロケット2段目と3段目の分離試験が行われました。
2012年12月、イプシロンロケット2段目と3段目の分離試験が行われました。

現在、日本の主力ロケットH-IIAは低軌道に約10トンの荷物を打ち上げる力持ちです。力持ちロケットがあるからそれでいいじゃないか、と思うかもしれませんが、そうではありません。宇宙へ運ぶ荷物には、小さなものも大きなものもあります。小さな荷物を運ぶには小さなロケットで運んだ方が、効率的で価格も安くなるのです。荷物の大きさや運んで欲しいという人の予算に合わせられるよう、様々なロケットが必要なのです。

イプシロンの大きな特徴、ロケットに積んでいる機器の点検をロケット自身が人工知能で行うことです。これによって点検作業が簡単になります。また、ロケットの発射時にたくさんの管制官が見守る必要もありません。これまで100人近くいた管制官の人数をパソコン2台と数人に減らせます。管制室を持ち運べるぐらい小さくなるので「モバイル管制」と呼んでいます。これらは世界のどこもまだ実現していない「世界一」のことです。
 
初号機で打ち上げるのは惑星分光観測衛星SPRINT-Aです。地球の周りを回りながら、金星火星木星などを観測する、世界で最初の惑星観測用の宇宙望遠鏡です。また発射場は、鹿児島県の大隅半島にある内之浦宇宙空間観測所です。ここは1962年に東京大学の付属施設として作られ、その後日本の固体ロケットが打ち上げられてきた、「固体ロケットの聖地」といわれる場所なのです。

内之浦宇宙空間観測所。日本の固体ロケットを打ち上げてきました。
内之浦宇宙空間観測所。日本の固体ロケットを打ち上げてきました。

日本のロケット開発はわずか23cmのペンシルロケットから始まりました。ペンシルロケットのアイデアを出し開発を進めたのは糸川英夫博士で周囲の人々を驚かせましたたが、その後、糸川博士によって日本の固体ロケット開発が進められました。内之浦に発射場を作ろうと決めたのも糸川博士です。2012年に糸川博士の生誕100年に当たり、内之浦宇宙空間観測所に銅像が造られました。新しい発想で世界一を目指すイプシロンロケットの成功を「ロケット開発の父」である糸川博士はきっと期待して見守っていることでしょう。

糸川英夫博士とペンシルロケット。
糸川英夫博士とペンシルロケット。