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原始生命

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関連情報

生命の材料はどこからきたか

生物の体をつくる主な元素、炭素、窒素、酸素、硫黄、リンなどは、宇宙が誕生したときには存在していませんでした。これらの元素は恒星がその中心部で起こす核融合反応によってつくられたのです。そして、恒星の死とともに宇宙に撒きちらされていったのです。これらの元素が結合して、分子レベルにおける生命の構成要素であるアミノ酸がつくられます。約46億年前に地球が誕生したころ、原始地球の大気中は主成分が二酸化炭素で、ほかに窒素、一酸化炭素、水蒸気などが含まれていました。これらの分子が、放射線や紫外線のエネルギー、火山などの熱エネルギー、雷による放電のエネルギーなどの作用を受けて、アミノ酸がつくられていったと考えられています。は、アメリカのハロルド・ユーリーとスタンリー・ミラーは、単純な物質からアミノ酸が合成されることを実験的に示しました。また、宇宙から飛来する隕石にアミノ酸の原料となる有機物が発見され、彗星中にも有機物が存在することから、生命の素となるアミノ酸は宇宙から運ばれてきたという説があります。これを「パンスペルミア仮説」といいます。

生命の誕生

作られた場所がどこであれ、原始地球の海水中に溶け込んだ単純な有機物はやがて互いに結合し、より高分子の有機物へと成長していきました。原始地球の海水は、こういった有機物が溶け込んだ「スープ」のようなものでした。そのうち、なんらかのきっかけで高分子の有機物から意味のある配列をもつタンパク質がつくられるようになりました。この段階では、たとえ生物のような個体ができたとしても、自分自身を複製して子孫を残すことができなければ、その1個体で消滅してしまいます。しかし、このようなことが繰り返される中で、遺伝情報を伝達するものが現れ、周囲とのしきりを持ち、タンパク質を合成できるようになった原始生命が誕生したと考えられています。約40億年前のことです。

地球最古の化石

地球最古の化石は、西オーストラリアのノースポール地域で発見されました。約35億年前のもので、顕微鏡で見ないと分からないほどの大きさのバクテリアです。化石が発見されたのはチャートと呼ばれる岩石の中で、熱水活動が活発な場所で堆積したと見られています。現在の地球の深海底には熱水噴出孔と呼ばれる、地熱で熱せられた海水が噴き出している場所があり、熱水中に溶け込んでいる化学物質をエネルギー源とするバクテリアなどが多く生息しています。ノースポールで発見されたバクテリアも、このような環境下で生息していたと考えられています。

海底にある熱水噴出孔の一種、ブラックスモーカー。 (c) OAR/National Undersea Research Program (NURP); NOAA
海底にある熱水噴出孔の一種、ブラックスモーカー。 (c) OAR/National Undersea Research Program (NURP); NOAA

ストロマトライト

初期のころの生命は、ノースポールで発見されたバクテリアのように深海に住み、熱水噴出孔から出てくる化学物質をエネルギーとして生きていました。バクテリアのように、細胞中に核をもたない生物を「原核生物」といいます。約27億年前になると、日光をエネルギー源として酸素を発生させる光合成を行う生物シアノバクテリアが登場します。このシアノバクテリアの仲間は日光が届く浅い海に生息し、コロニー状の構造物をつくります。これがストロマトライトです。このストロマトライトは、現在でもオーストラリアのシャーク湾などで見ることができます。シアノバクテリアによって海水中に酸素が放出されるようになると、海水中に溶け込んでいた鉄分が酸素と結びついて沈澱し、縞状鉄鉱層を作りました。やがて海水中の鉄分はそのほとんどが取り除かれ、水中へ、そして大気中へと地球上に酸素が増えていったのです。

シャーク湾のストロマトライト。 (c) Paul Harrison
シャーク湾のストロマトライト。 (c) Paul Harrison

酸素呼吸のはじまり

私たちが生きていくためには酸素は必要不可欠です。しかし、酸素がほとんど存在しない環境下で誕生した原始生命にとって、酸素は毒以外のなにものでもありませんでした。しかし、シアノバクテリアが光合成することによって海水中にも空気中にも酸素が増えてくると、酸素から身を守る酵素をもつようになり、ついには酸素を有効に利用するようになったのです。こうして酸素呼吸が始まりました。生物が酸素呼吸を始めたことを示す化石は発見されていませんが、縞状鉄鉱層の形成が終りつつあった約20億年前ころまでにはその能力を獲得したと考えられています。

真核生物から多細胞生物へ

生命が酸素呼吸を獲得したのと時を同じくして、新しいタイプの生物が誕生しました。それが細胞内に核をもつ「真核生物」です。そして、同時に細胞の中に様々な役割をもつ細胞内小器官をもつようになりました。これらの小器官は、もともとは別の原核生物だったものが、別の原核生物の細胞内に共生するようになって生まれたと考えられています。真核生物の登場によって生物の大型化、複雑化がより一層進み、約10億年前には、複数の細胞からなる多細胞生物が誕生するのです。