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電波望遠鏡

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電波天文学の歴史は、わずか80年ほど

電波天文学とは、宇宙からやってくる電波を受信して宇宙を調べる学問のことで、その歴史は浅く、わずか80年ほどしかありません。宇宙から電波が届いていることが最初に発見されたのは、1931年のことです。アメリカ人技術者のカール・ジャンスキーがアンテナを使い、雷の雑音がどの方向からくるか調べていたとき、毎日ほぼ同じ方向から電波がくることに気づきました。しかもそれは毎日だんだん早くなり、1年で元にもどるのでした。こうした傾向は、宇宙の同じ方向からやってくると考えるのが自然で、この電波は地球の外からきていると解釈されました。この大発見は、当時はあまりかえりみられませんでしたが、第2次世界大戦後、多くの国で電波観測が行われるようになりました。そして精度の高い電波望遠鏡がつくられるようになってから、電波天文学は飛躍的に発展してきました。

アマチュア天文家による世界初の電波望遠鏡

電波望遠鏡とは、天体からの電波を観測する望遠鏡のことをいいます。電波望遠鏡の第1号といわれるのは、1930年代の後半にアメリカのグロート・リーバーが作ったものです。彼はプロの天文学者ではありませんでしたが、ジャンスキーが宇宙からやってくる電波を発見したことを聞いて興味を持ち、自宅の庭に直径9.5mのパラボラアンテナを作りました。この望遠鏡では真空管を用いた受信器が使われましたが、彼は電波で見た「天の川」の地図をつくり、天の川の面にそって電波が強いことなどを発見しました。

銀河系の中心の姿や星が生まれる過程を解明

この電波望遠鏡がつくられてから約半世紀がたち、その間に電子技術などの進歩とあいまって電波望遠鏡の性能もめざましく進歩してきました。長野県の野辺山宇宙電波観測所にある直径45mの電波望遠鏡は、波長の短い電波(ミリ波)で世界のトップクラスの性能をもつものです。電波望遠鏡の性能がよくなるとともに、光では見えない銀河系の中心の姿や、星が生まれる過程がよりくわしく分かってきました。電波望遠鏡は、人類が宇宙への理解を深めるのに大いに役立っているのです。電波天文は、ビッグバン、パルサー、星間分子線、ブラックホールやジェットなどの観測で大活躍をしています。

人間の出す電波が少なくかつ、大気の薄いところに設置する

野辺山宇宙電波観測所の45mの電波望遠鏡
野辺山宇宙電波観測所の45mの電波望遠鏡

光学望遠鏡では、天気が良く空気の澄んだ場所に設置するのが良いとされていますが、電波望遠鏡の場合は、人間の出す電波が多いところではその性能を十分に発揮することができません。また、電波望遠鏡の技術的な発展とともに、波長が1cm~1mmの電波(ミリ波)やそれよりも波長の短いサブミリ波の観測もできるようになりました。こうした電波は地球の大気に含まれる水蒸気によって吸収されたり雑音が発生したりしてしまうので、電波望遠鏡の設置場所としては大気が薄く乾燥しているところが適しています。そのため、日本では長野県の野辺山(標高1,350m)が、ミリ波望遠鏡を設置する環境が良いということで選ばれました。現在、ハワイ島マウナケア山の山頂やチリ・アンデス山脈のアタカマ砂漠など、標高4,000mから5,000mの場所に続々と電波望遠鏡がつくられています。現在、日本、台湾、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ南天天文台を代表とするヨーロッパ連合の国際共同プロジェクトとして、チリのアタカマ砂漠にパラボラアンテナ80台を設置する「ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)」計画が進められています。2002年からアンテナの建設が始まっており、2012年から本格的な観測が始まる予定です。ALMAによる観測で、初期宇宙に存在する生まれたての銀河や、星の誕生、太陽系のような惑星系の誕生、宇宙にある物質の進化などについての研究が大いに進むと期待されています。

ALMAの完成予想CG(鳥瞰図)。(c)ヨーロッパ南天天文台/ALMA
ALMAの完成予想CG(鳥瞰図)。(c)ヨーロッパ南天天文台/ALMA