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JAXAの追跡管制網

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関連情報

追跡管制の業務内容

人工衛星の打ち上げ後の投入軌道の確認、衛星の追跡、衛星機能の確認などを総称して、「追跡官制」と言います。これらの業務は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターの追跡管制棟(TACC)を中心として、国内3局(勝浦宇宙通信所、増田宇宙通信所、沖縄宇宙通信所)、海外局4局(パース、マスパロマス、キルナ、サンチアゴ)の連携によるグランドネットワーク(新GN)を用いて実施されています。

人工衛星の追跡

国内及び海外局で衛星からの信号を受信して、地上局と衛星間の距離及び距離の変化率(R&RR:Range and Range Rate)データを集めてコンピュータで処理し、衛星の軌道決定を行います。また最近では、中低高度衛星(陸域観測技術衛星「だいち」)等では、衛星にGPS受信機を搭載し、衛星自身が受信したGPSデータを地上局に送信し、そのデータを利用して軌道決定する方法も採用されています。

R&RRデータ取得は、地上局から衛星が直接見える時にしかできないため、データ量が少ない等の理由から、軌道決定精度も精々10m程度しか得られません。

一方、GPSによる方法では、衛星は常時GPS信号を受信可能なのでそれを衛星内に蓄えておき、1日1回まとめて地上局に受信データを送信することが可能です。良好な連続データが大量に取得できるため、軌道決定精度がR&RRに比べ格段に良くなります。(数cmオーダの精度が可能)

人工衛星の管制

各宇宙通信所から送られてくる人工衛星の内部動作状態のデータをコンピュータで処理して、衛星の監視をするとともに、衛星の運用計画に基づき搭載されているミッション機器(通信装置や地球観測用センサ等)のオン・オフ指令の発信や、衛星の姿勢保持や軌道保持のための制御指令信号の発信等を行います。

データ中継衛星の活用

人工衛星の管制にはデータ中継衛星も活用されています。米国は10機のデータ中継衛星(TDRS)を静止軌道に保有して、中低高度衛星の運用に活用しています。国際宇宙ステーション(ISS)TDRSを活用することで、ほぼ24時間連続で通信回線を確保しています。

JAXAでも、自前にデータ中継衛星(DRTS)を1機インド洋上空に保有し、「だいち」や「いぶき」、更には「きぼう」の運用に利用しています。特に、「だいち」などの地球観測衛星運用では、地上局のみによる運用は可視時間に限界があるため、DRTSを利用することで、運用中の中低高度衛星との可視時間が大幅に拡大し、衛星運用の利便性、柔軟性確保に貢献しています。

追跡管制システムの開発

追跡管制に必要な設備やコンピュータ・プログラムの開発や試験を行い、人工衛星の打ち上げに備えています。また、これらのシステム開発に必要な研究を行います。

追跡管制システムとネットワーク

衛星の動作を制御し、管理運用するための指令は、筑波追跡管制センター(TACC)から宇宙通信所(追跡管制所)を経由して衛星に送られます。JAXAの追跡管制網は、沖縄・増田・勝浦の各宇宙通信所、キルナ可搬型追跡管制局(スウェーデン)、さらに外国局を加えた追跡管制網により行われます。外国局には米国NASAJPLの協力によりゴールドストーン(米国)、マドリード(スペイン)、キャンベラ(オーストラリア)が加わります。TACCを中心に、各局との間で追跡管制網を構成し、昼夜を通して人工衛星の追跡管制を行っています。

JAXAの追跡管制網は次のとおりです。

沖縄宇宙通信所

1968年「沖縄電波追跡所」として発足しました。それぞれ直径30m、18m、10mのパラボラアンテナ3基のほか、準天頂衛星専用の追跡管制局2局が設置されています。

増田宇宙通信所(種子島)

人工衛星の追跡管制設備とは別に、ロケットの飛行状態を監視するための設備が設置されています。

勝浦宇宙通信所(千葉)

1968年「勝浦電波追跡所」として発足しました。直径13m、10mのパラボラアンテナのほか、追跡管理棟、電力棟、野々塚コリメーション(野々塚山)があります。

キルナ可搬局(スウェーデン)

スウェーデン北部、北極圏の都市「キルナ」に設置され、極地方を通過する地球観測衛星の追跡管制を行います。設備はほかの宇宙通信所とほぼ同じですが、必要に応じて移設できるように設計されています。

パース可搬局(オーストラリア)

オーストラリア西部のパース市に位置する追跡管制施設です。チリのサンチアゴ局とともに、南半球での定常的な追跡管制を担う、重要な拠点です。
衛星からの電波を受信し、人工衛星が正しい軌道、位置及び姿勢を保っているか監視します。搭載機器が正しく機能しているかどうかについても、必要な信号を受信しています。また、衛星に指令信号(コマンド)を送信して、軌道・姿勢制御や搭載機器調整も行います。

サンチアゴ可搬局(チリ)

チリの首都サンチアゴに位置しています。チリ大学の追跡局内にあり、同校の協力のもと、衛星の追跡を行っています。衛星からの電波を受信し、人工衛星が正しい軌道、位置及び姿勢を保っているか監視します。搭載機器が正しく機能しているかどうかについても、必要な信号を受信しています。また、衛星に指令信号(コマンド)を送信して、軌道・姿勢制御や搭載機器調整も行います。

マスパロマス可搬局(スペイン領カナリア諸島)

スペイン領カナリア諸島に位置しています。スペイン国立航空宇宙研究所のマスパロマス局の敷地内にあります。
衛星からの電波を受信し、人工衛星が正しい軌道、位置及び姿勢を保っているか監視します。搭載機器が正しく機能しているかどうかについても、必要な信号を受信しています。また、衛星に指令信号(コマンド)を送信して、軌道・姿勢制御や搭載機器調整も行います。

臼田宇宙空間観測所(長野)

深宇宙の探査機からの微弱な電波を受信するために直径64mの大型パラボラアンテナが設置されています。日本初の深宇宙ミッションとなった「さきがけ」「すいせい」に合わせて1984年に建造されました。

小笠原追跡所(東京)

ロケットの追尾等を行うロケットテレメータアンテナ、精測レーダアンテナが設置されています。種子島宇宙センターとは専用の回線で結ばれており、取得されたデータはリアルタイムで伝送されます。

レーザ測距

軌道決定のための精度向上の手段として、人工衛星にレーザ反射ミラーを貼り付け、地上から発射するレーザ光により測距データを取得する設備がJAXA増田宇宙通信所に設置されています。

宇宙デブリ接近解析

主に中低高度を周回中の衛星に対して、米国が公表している約15,000個の宇宙デブリデータ(TLE:Two Line Elements(2行で表現された軌道情報))を活用して、これらの宇宙デブリが衛星に接近、衝突の可能性が無いか、毎日解析しています。

宇宙デブリ衝突回避マヌーバ

宇宙デブリ接近解析により、衝突確率計算を行い、ある閾値内にその衝突確率が入った場合には、衛星の軌道を若干変更して、衝突可能性を回避します。これまで公表されたデータによると、ISSでは8回衝突回避マヌーバが実施されています。無人衛星でも、米国や欧州の衛星で過去数回実施されたとの報告があります。