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地球観測データ利用

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関連情報

地球環境を監視・保護する

現在の地球はどんな環境にあるのかを理解し、地球全体の環境の変化を把握することの必要性が、世界的にさけばれています。環境を破壊する例として、炭酸ガスなどによる地球の温暖化、オゾンホール、酸性雨などが挙げられますが、その原因や対策を考えるには、まず地球に関するそれらのデータを集めていく必要があります。地球観測衛星は、地球全体のさまざまな様子を周期的に観測し、全地球的なデータを収集します。観測で得られたデータは、世界各国のネットワークを通じて配信され、解析され、熱帯林の減少やオゾンホールなどが、地球の環境や気候にどう影響するのか研究がすすめられています。

マゾン・パラ州の1993年から2010年までの森林の変化の様子。「ふよう1号」が観測した1990年代の観測データと「だいち」が観測した2000年代のデータを元に作成したものです。赤い部分が森林減少を示し、薄緑色の部分が森林再生を表しています。
マゾン・パラ州の1993年から2010年までの森林の変化の様子。「ふよう1号」が観測した1990年代の観測データと「だいち」が観測した2000年代のデータを元に作成したものです。赤い部分が森林減少を示し、薄緑色の部分が森林再生を表しています。

地球観測衛星には、環境や大気の様子・海洋現象などの監視のほかに、未開発の資源の探査を行うものなどもあり、各国では最先端の技術を利用して地球観測衛星の開発に積極的に取り組んでいます。また、こうした地球観測を全地球レベルで行うため「地球観測委員会(CEOS)」などもつくられています。

みどり」で見る地球観測衛星の活躍

地球観測衛星は、地球上の資源の探査、環境・公害などの監視、海洋現象の観測などを行い、私たちの生活を側面からサポートしています。ここでは、1996年8月に打ち上げられ、約1年にわたって運用された宇宙開発事業団/現 宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」のデータをもとに、地球観測データの取得・解析について見てみます。
みどり」は、地球の温暖化、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、異常気象といった環境問題に対応した全地球規模の観測データの取得を目的として打ち上げられました。その本体には、環境の微妙な変化をとらえる8種類のセンサが搭載され、それぞれが画像データをたえまなく地上に送っていました。
その核となったのは、宇宙開発事業団/現 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した高性能可視近赤外線放射計(AVNIR)と海色海温走査放射計(OCTS)です。前者のAVNIRは、地上から反射する太陽光を観測する高分解能の光学センサで、衛星直下の幅約80kmの範囲を細かく分割して観測します。また、OCTSは、海洋の水色や水温データを反復して取得し、クロロフィル濃度や浮遊物、水温などを把握することを目的とした光学センサです。

「みどり」が撮影した日本列島周辺海域のOCTS画像
「みどり」が撮影した日本列島周辺海域のOCTS画像

このほかには、いま大きな問題となっているオゾンの分布量などを観測するNASA散乱計(NSCAT)などが搭載されています。このNSCATは、NASAのジェット推進研究所(JPL)が開発したセンサで、2日ごとに、氷に覆われていない全海域の90%の風速と風向きを天候に左右されることなく観測することができます。これにより作成された地球全体の気象モデルを利用すれば、エルニーニョラニーニャのような現象の解明にも役立つと期待されていました。

「みどり」のNASA散乱計で撮影した太平洋域の海洋風向・風速
「みどり」のNASA散乱計で撮影した太平洋域の海洋風向・風速
「みどり」のNASA散乱計が観測したオゾン全量分布
「みどり」のNASA散乱計が観測したオゾン全量分布

気象観測

気象衛星は、私たちの生活にとってもっとも身近な衛星といえます。テレビの天気予報などで目にする雲の動きなどの画像は、日本の気象衛星「ひまわり」の画像です。

気象衛星の本格的な開発は、1960年にアメリカで始められました。現在は、日本の「ひまわり」、アメリカの「ゴーズ」、ヨーロッパの「メテオサット」などが稼動し、静止軌道上で世界の気象を観測しています。これらの観測データは、世界気象衛星機構ネットワークを通じて各国に配信され、国際線の飛行機や船舶などに気象予報として刻々と送られています。

ひまわり」は、高度36,000kmの静止軌道に打ち上げられた静止気象衛星で、宇宙から雲の動きや地表の温度の分布、風向・風速などの観測データを収集して、刻々と地上に送ってきます。日中はもちろん、夜も赤外線で海面や雲の表面の温度分布を観測します。また台風が発生したときには、台風の目が周囲より温度が特に低い状態になるため、赤外線を使ってその動きを観測します。「ひまわり」の撮影する画像は、ほぼ南極から北極をカバーしているので、日本周辺の東南アジアからオーストラリア上空まで観測を行っています。2010年7月からメインの観測機は「ひまわり6号」から「ひまわり7号」にバトンタッチされ、「ひまわり6号」はバックアップに回りました。この2機は2015年まで運用が予定されています。

「ひまわり5号」が初めて送ってきた気象データ画像
「ひまわり5号」が初めて送ってきた気象データ画像

災害状況把握

地球上のどの地域でも2日以内に観測できる陸域観測技術衛星「だいち」は、災害発生時にはこれまでになく迅速に、被災地の様子を観測することが可能です。蓄積されているデータと災害後に取得したデータから、地上の状況の変化や、火山活動や地震などによる広範囲な地殻変動の確認など活用されています。取得した災害情報は、アジア各国の宇宙機関や防災機関が協力して情報提供しているネットワーク「センチネル・アジア」に提供され、災害復興などに役立てられています。

「だいち」のセンサのアブニール2で観測した、2010年10月11日から降り続いた豪雨で洪水などの被害が発生したカンボジアの画像。赤色が冠水した地域。災害前後の画像を比較すると、災害後に農耕地が非常に広範囲に冠水している様子がわかります。
「だいち」のセンサのアブニール2で観測した、2010年10月11日から降り続いた豪雨で洪水などの被害が発生したカンボジアの画像。赤色が冠水した地域。災害前後の画像を比較すると、災害後に農耕地が非常に広範囲に冠水している様子がわかります。

だいち」の幅広い活躍

2006年に打ち上げられた「だいち」は、大規模な火山噴火や地震など、海外の被災地の画像をいち早く取得するほか、地質構造や岩石の分布を観測することで石油や鉱物などの資源を探査します。それにともない取得したデータは、地盤沈下などの災害対策にも役立てられます。
また、太陽光が物にあたり反射した光や、対象物から放出(放射)される熱を測定することで、植物、森林、田畑等の分布状況や、河川、湖沼、市街地等の地上状態を観測し、地図作成や地域観測などを行うことが可能です。
空気や水などの環境を把握し、農業・漁業などに好条件の地域を選定するというユニークな試みも行われています。

今後も続くオゾン層保護の取り組み

オゾン層を破壊するフロンガスは、冷蔵庫やスプレー類などに使用されていましたが、2001年に制定された「フロン回収・破壊法」により厳しく規制されるようになりました。大規模なオゾンホールの形成は毎年変わらず起きており、依然オゾン層が修復傾向にあるとは言えない深刻な状況が続いています。2009年には最大で約2,500万km2オゾンホールが出現しています。