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真空

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大気をもつ惑星、地球

地球には空気があり、宇宙にはありません。地球の空気は主に窒素、酸素、二酸化炭素からできていて、人間や多くの動物は酸素を取り込んで呼吸をするため、空気がないと死んでしまいます。このように、一つの天体全体をまるごと覆っている「空気がある環境」を「大気」といいます。

地球を薄く覆う大気(画像提供:NASA/JPL/UCSD/JSC)
地球を薄く覆う大気(画像提供:NASA/JPL/UCSD/JSC)

「大気がある」ということは地球の大きな特徴の一つです。私たちの体やものが地面に引きつけられるように、空気も「重力」に引きつけられて地球の周りをとりまいています。重い天体ほど重力が大きく大気を集めやすくなります。例えば、水星火星などの大気は非常にうすく、月や小惑星は全く大気がありません。地球にくらべてとても軽いから、というのが主な原因です。一方で、重すぎる天体は重力による引力が大きすぎて「大気」の層をうまく維持できません。

地球は大気に守られている

呼吸ができるということ以外にも、地球をとりまく大気は私たちを守るいろいろな働きをします。小さなちりや隕石が地球の大気にとびこむと、空気との摩擦熱により燃えて、きれいな流れ星となって消えていきます。しかし、ある程度の大きさ以上の隕石や小惑星の場合には、燃えつきずに地表に落ちてきて、そこに棲む生命にダメージをあたえることがあります。もし大気がなければ、こうした小天体がすべて地表まで落ちてきて、月のように地表がクレーターだらけになってしまいます。月のクレーターは風や雨などの風化を受けないため、別の小天体が落ちてこない限りその姿のまま残りつづけます。

月探査機「かぐや」が撮影した、クレーターに覆われた月の表面
月探査機「かぐや」が撮影した、クレーターに覆われた月の表面

また、大気のない月では太陽のあたる夜側が-232度、昼側が122度(参考)という過酷な環境ですが、地球では大気が地表の熱の保持・放出のバランスをとるため、気温差が少なく生命がすみやすい環境となっています。その他、大気は、人体に有害な紫外線を吸収したり、音を伝えたりします。

真空の宇宙へ飛び出す

地球の大気圏は高度約100kmまであり、それより上は空気のない真空の世界です。

人間の体は、外からの空気の圧力(大気圧)と体内の圧力のバランスを保ちながら機能しているので、真空中ではその機能が働かなくなり生きられません。人間が宇宙で滞在する宇宙船や宇宙ステーション、またその外での活動で着用する宇宙服は、内部の気圧を保つよう作られています。アポロ計画の初期には、アポロ宇宙船は純粋な酸素のみを充満させていましたが、地上での訓練中、宇宙船で火災が発生し3人の宇宙飛行士が亡くなる事故がきっかけで、現在の宇宙船は、地球の大気とほぼ同様な窒素と酸素が使われています。

その他ロケット人工衛星など、宇宙空間で使用するものを開発する際には、地上で真空状態を再現する装置(これを「スペースチャンバ」と言います。)を使って、人工衛星の各部が適切な温度範囲で動作できるかどうかの綿密な試験を行います。熱の伝わり方は、一般に、伝導(2つの物体が直接接して熱が伝わる)、ふく射(熱が赤外線と言う電磁波となって伝わる)、対流(空気が熱の媒体となって伝わる)があり、地上ではこの3要素が働きますが、宇宙では空気がないので「対流」がありません。そのために、スペースチャンバでの試験が非常に大事なります。

筑波宇宙センターで行われた月探査機「かぐや」の熱真空試験
筑波宇宙センターで行われた月探査機「かぐや」の熱真空試験

真空環境のメリット

X線や紫外線は人間にとって有害なものですが、はるかかなたの天体の激しい活動の様子を伝えてくれる「光」の一種でもあります。また、サーモグラフィーでおなじみの赤外線は、ちりの雲を見通し内部にある星の様子などを伝えてくれます。これらの「光」は大気に吸収されやすく地上の望遠鏡ではなかなか観測できません。そこで、観測機器を載せた「宇宙望遠鏡」が人工衛星として打ち上げられ、大気や光害の妨げのない環境で観測を行い、これまで知られていなかった宇宙の姿を次々と明らかにしています。光学望遠鏡では、「ハッブル宇宙望遠鏡」、X線観測では現在のJAXAが打ち上げた幾つかのX線観測衛星が有名です。

また、空気抵抗のない宇宙空間では、小さなちからでも一度力を加えれば加速でき、あとは何もしなくても進み続けることができます。小惑星探査機「はやぶさ」で有名になった「イオンエンジン」が代表的な例です。地上からロケットが飛び立つためには地球の重力と空気との摩擦に打ち勝つために強力なロケットエンジンが必要ですが、一旦宇宙に出てしまえば、イオンエンジンでも噴射し続けることでどんどん加速していきます。搭載燃料が限られる探査機がはるかかなたの惑星まで比較的効率的に到達することができるのも、これが大きな要因です。また、探査機では惑星の近くを飛行することで、惑星の重力による引力を利用した「スイングバイ」により、探査機を加速する方法が利用されています。